「ええ。去年まではご領主さまが村のことも気にかけてくださって衛兵をおいてくださったんだけど」
「領主が変わって、今年からそれが無くなった?」
「そうなの。税も増えて……。あ、でもね、それは仕方がないことでもあるの。大雨が続いて落ちてしまった橋を修復したり、色々しなければならないことがあるから」
「そうか」
思わずしんみりとしてしまう。
この領地を管理している公爵は、昨年末に息子に代替わりした。
肩を持つわけではないが、真面目な男だと聞いた記憶がある。代わったばかりで災害が起き、色々とまだ不慣れゆえ行き届かないこともあるのだろう。
「村の長には言っておいたほうがいいんじゃないかな。長から言って上にもらって。もしかすると、こんなことが起きているとは知らないだけかもしれないし」
「うん……、そうね」
そう答えるリリィの歯切れは悪かった。
「ところでミル、今日泊まるところは決まっているの?」
「ううん、決まっていないっていうか、旅費が尽きてしまってね。まずは仕事を探さないと。と思っているんだけど」
ついでに言うと、旅に必要な身分証がない。それをなんとかしなければ、王都には入れない。
「えー、そうなの? ここでよかったら泊まらない? 二階に空き部屋があるし、先を急いでいるんじゃなければ是非」
「え、でも、恥ずかしいことに本当にお金がないんだよ」
「領主が変わって、今年からそれが無くなった?」
「そうなの。税も増えて……。あ、でもね、それは仕方がないことでもあるの。大雨が続いて落ちてしまった橋を修復したり、色々しなければならないことがあるから」
「そうか」
思わずしんみりとしてしまう。
この領地を管理している公爵は、昨年末に息子に代替わりした。
肩を持つわけではないが、真面目な男だと聞いた記憶がある。代わったばかりで災害が起き、色々とまだ不慣れゆえ行き届かないこともあるのだろう。
「村の長には言っておいたほうがいいんじゃないかな。長から言って上にもらって。もしかすると、こんなことが起きているとは知らないだけかもしれないし」
「うん……、そうね」
そう答えるリリィの歯切れは悪かった。
「ところでミル、今日泊まるところは決まっているの?」
「ううん、決まっていないっていうか、旅費が尽きてしまってね。まずは仕事を探さないと。と思っているんだけど」
ついでに言うと、旅に必要な身分証がない。それをなんとかしなければ、王都には入れない。
「えー、そうなの? ここでよかったら泊まらない? 二階に空き部屋があるし、先を急いでいるんじゃなければ是非」
「え、でも、恥ずかしいことに本当にお金がないんだよ」