「あっ」 と恥ずかしそうにしてると、隣にいたカイリがそっと余っていた線香花火を差し出すので、受け取る。
「ありがとう」
その様子を見ていたハルカが「あれ? ヒバリちゃんってさ、もしかしてカイリと昔、付き……」
ふと昔の記憶を思い出した。カイリが女の子と手を繋いで帰っているところを一度だけ見かけて、冷やかしたことは覚えていたのだけど、相手の顔は忘れていた。
だけど、たぶんこの子だと急に思い出が鮮明になる。
ハナはハルカが介入するとこじらせる気がしたので慌てた。
「あっ、そうだ。ハルカくん、スイカ食べに行かない? さっき、アサミさんがキッチンでスイカ切ってるの見たんだよね」
今度は、ハルカの腕を引っ張り家の中へ舞い戻る。 自分でもなにを焦っているのかと、どこか呆れる慌ただしさだ。
後でヒバリやカイリにわざとらしいと言われるかもしれない。
ハルカが「俺の線香花火、まだついてたのに~」と悲し気に言うので「ごめん。だって、あの場でその話になったら変な空気になる気がして」
「……なるほどね。っていうことは、やっぱりカイリの元カノってことか。あとでからかおうっと」と悪びれなく言う。
「絶対、ダメ」
「えー、なんで? カイリにだけだよ。ヒバリちゃんにはしないよ。俺だってわきまえてるよ」