気が付くと、繁華街にいた。
古着屋やタピオカ屋などがあるどこにでもある普通の繁華街に。
俺は慌てて前髪で眉毛を隠し、パーカーのフードを被って髪を隠した。
繁華街には高校生や中学生、大学生、社会人のような身なりの人など、色んな人がいる。
あのドアの先は、こんなとこに繋がってたのか?
俺は本当に不老不死の世界に来たのか……?
ん?
悪魔がそばにいない?
勝手にいなくなるなよな。まだ聞きたいいことがたくさんあったのに。
「はぁ……」
しょうがない。誰かに話しかけるしかないか。
直後、後ろから銃声が聞こえた。
後ろを見ると、女の人が腹を撃たれて倒れていた。だが、彼女は痛そうに顔をしかめて小さく悲鳴を上げただけで、五分経った頃には、なにごともなかったかのように立ち上がった。
……死んでないのか?
どうやらここは本当に不死の世界らしい。
じゃあ、あの悪魔が言ったことは全て本当なのか?
「アハっ、アハハハハハハハ!」
思わず声をあげて笑った。
――信じられない。
俺は自由だ。
自由を手に入れたんだ。
もう父親に怯えることも、殺されて死体を分解されるのを考えて怯えることもない。
……最高だ。
「危ないっ!」
突如誰かに胸を押され、思わず俺は後ずさった。
「急になんだ……」
直後、目の前にいた男の右腕に、バタフライナイフが突き刺さった。
「いっ、た……」
俺を庇って刺さったのか……?
男はジャンバーのフードで顔を隠していて、顔は見えない。でも背丈は同じくらいだ。きっと歳も同じくらいだろう。
俺は慌てて立ち上がると、男の腕からナイフを抜こうとする。
「君、馬鹿なの? そんなのは後でいいから、とにかく逃げるよ!」
俺の腕を掴んで、男は言う。
「なっ!」
直後、拳銃の弾が真横に飛んできて、俺の髪を切った。
慌てて周りを見ると、俺達はナイフと銃を持った大人に囲まれていた。俺達の他に、老人や小学生くらいの子など、色んな人が狙われている。
もしかしてこいつらが、あの悪魔がいってた殺人鬼達か?
「行くよ」
そう言うと、男は俺の右腕を掴み全速力で走り出した。