――生きたい。
人生なんてクソだ。
俺の親父も風兎の家族も本当に酷い。それに悪魔に提案されてきたこの世界だって、血潮にまみれていて、はっきりいってとてもいい世界ではない。
それでも、俺はこの世界でコイツと生きていきたい。
風兎と毎日ご飯を食べて、くだらないことで笑い合って生きていきたい。叶うなら永遠に。
こいつと一緒なら、不老不死も悪くない。
いや、俺はこいつと、永遠を共にしたい……。
それで俺はいつか、こいつが家族のことで作り笑いをしなくなるような未来を作りたい。
そんなのできるかわからないけれど。それでも、俺は本気でそんな未来を作りたいと思った。
……悪魔の言った通りに考えるようになった。まだあの悪魔と話してから、一日しか経ってないのに。でもまぁ、それもいいのかもしれない。
――ねぇ神様、たぶん俺は貴方を一生許さない。
産まれて間もない俺を地獄に突き落とした貴方を、俺は永遠に許さない。
でも、感謝はしている。
あの悪魔と俺を引き合わせてくれたこと。
俺をこの世界に連れてきてくれたこと。
この世界で、風兎に出会わせてくれたこと。それだけは、本気で感謝している。
こいつが明日死ぬなら、俺の寿命は明日まででいい。
こいつが明日も息をするなら、明日も俺は息をしよう。
この殺戮に溢れているけど、前よりマシな世界で。