「すごい漫画みたいな説だな」
「うん、そうだね」
 俺の発言に、笑いながら風兎は頷く。

「いつ不老不死になったんだ?」
 首を傾げて俺は言う。

「五年前。五年前に、人々はみんな一斉に不老不死になった」

 つまりあの悪魔がこの世界の理をいじったのは五年前なのか。……意外と最近だな。何が訳がある感じがする。あの悪魔、見た目悪魔っぽくないし。何か事情抱えてそうだよな。まぁ、俺からすればそんなのどうでもいいことだが。

「さっきの元殺人鬼ってのはなんだ?」
「そのままの意味だよ。繁華街は人々が不老不死になる前、殺人をしてた人間のたまり場になってるんだ」

「殺人をしてた人間のたまり場?」

「ああ。……人々が不老不死になったから、殺人鬼などの犯罪者は人を殺せなくなった。それで世界では一切争いが起きなくなり平和になりましたとかいうことだったら本当によかったんだけど、残念ながら殺人鬼やあるいはその他の犯罪者は人間が不老不死になったからといって、大人しくなるわけじゃないんだよね。不老不死だから当然人を殺すことはできないけど、この腕みたいに傷つけることはできる。犯罪者の中でも特に殺人鬼とかはそういう人を傷つけること自体に快感を感じてる奴が多いんだ。あの繁華街は、そういう奴らのたまり場になってるんだよ」

 腕を組んで、風兎は言った。

「それは、……やばいな」

「うん。繫華街に行ったら必ず怪我すると思っといた方がいいよ」

「そうか。本当にありがとう。助けてくれて」