「父さん」

その声とともに服の袖を引っ張られて武雄は顔を上げて和哉(青年)をみる。

「泣きたいときは、泣いていいんだよ」

その柔らかな声とかけられた言葉に武雄は和哉(青年)の両肩を(つか)んでうつむき、(こら)えていた涙腺がとうとう崩壊して大粒のしずくが頬を流れ「ゔぁあぁぁあーーーー」と声をあげて泣いた。

その泣き声の中には和哉に対する謝罪の言葉が含まれていた。

「父さん……」

和哉(青年)は武雄の背に腕をまわした。武雄は両肩に置いた手を今度は前身頃(まえみごろ)に移して(つか)み直し、すがりつくようにして和哉(青年)の肩に顔を()めて泣いた。