「どうだった?」

城島家から少し離れたところの公園で待機していた士郎が聞いた。

「兄ちゃん、ありがとう! 母さんは実家で暮らしてて、じいちゃんとばあちゃんがいるけど、父さんはいつも一人だったから心配だったんだ。でも、これで成仏できそうだ!」

「そうか、よかったな」

和哉の頭をくしゃくしゃと士郎は撫でた。

正直なところ、和哉と両親が夢の中で再会できるのかは本当に士郎自身もわからず、一か八かの賭けの運任せであったが、結果的に上手くいってよかったと、士郎は胸を撫で下ろした。

しかし、士郎は心のどこかで根拠のない自信があったが、それは和哉には秘密である。

もうしばらくすれば和哉はじきに成仏するだろう、と士郎は和哉を現世に残し、隠り世へひとり戻ることにした。