お客さんはほぼ帰り、お客さんはカウンター席の真ん中に座るカップルのみになった。

「イブキ! お腹空いた。なにか私も食べたい!」

「もう少し待ってよ」

「無理!」

わがままを言うルシアに女の人は「私たちのことは気にせずに」と言ってくれた。

ピザと鮭のムニエル、ポテトにカプレーゼはは嬉しいことに完売。

ルシアにハンバーグとスープにサラダを運んだ。

「いただきます!」

もぐもぐ食べるルシア。

オムライスは僕の夜ご飯に取っておこう。

カップルの雰囲気を壊してしまったお詫びに残りのサイダーと冷蔵庫に入っていたいちごで何かを作ることにした。

いちごを細かくして、コップに入れる。

氷を入れて、サイダーを注ぎ、4等分にカットしたいちごをのせる。

「これよかったらどうぞ」

「とってもオシャレね」

「ありがとうございます」


「ルシアにもどうぞ」

「やったぁ!」

僕も飲んでみるとサイダーの甘みと、いちごの酸味がマッチしていてとても美味しい。

「これすごく美味しいですね!」

「ありがとうございます」

女の人はこれを気に入ってくれたらしい。

「僕達、結婚するです。けれど親がまだ許してくれないんです」

「理由を聞いても?」

「このサイダーと一緒です。サイダーもいちごも、とっても美味しい。それを合わせたらもっと美味しくなる。結婚したら家族が増えてもっと楽しくなる。それは両親もわかってるけど……」

「けど?」

「サイダーといちごを一緒にすると味が変わるように、この子を家に入れたらこの家が変わるって。」

「そういう事ですか。」

なかなか難しい相談がきたな。