「診断……不可能……」

「まあ、この診断が出来なくても住民票の取得は出来ますし、大丈夫ですよ」

今にも泣きそうなルシアに不安を与えないようにとお姉さんは笑顔を見せた。

「大丈夫だよ。お姉さんも言ってたし」

「そうだね」

「それでは、住民票についてです」

そう言って、1枚のカードをくれた。

「このカードを無くしてしまったらすぐにこちらにお越しください。このカードは旅行の時や、通院など色々な面での身分証になります。大切にしてください」

「わかったわ」

「ありがとうございます」

宿に戻る途中も判定不可能と出たことを気にしているのか暗い表情をしていた。

「大丈夫?」

「大丈夫。ちょっとびっくりしただけ。」

「大丈夫だよ。向こうで働いていたんだし、働くのに向いてないとかじゃないと思うから」

「そうだね」

宿に戻ると、アルビナさんが慌てた様子で出迎えてくれた。

「何かあったんですか?」

「それが大変なことに、調理担当の人が辞めてしまってさ。泊まってくれている人の夜ご飯とか作る人がいなくなったんだよ」

「それは大変! 私楽しみにしてたのに!」

アルシアさんの困った表情とルシアの上目遣いに押され、考えるより先に言葉を発した。

「僕が作りましょうか?」

「「えっ?」」

2人とも目が点になっている。

「元々料理得意だし、レシピと材料さえあれば作れると思います」

「本当かい? それは良かったよ!」

目を輝かせながら僕の手を握るアルビナさん。

ルシアは僕が料理ができることを疑っていた。

「ここは宿に泊まっている人以外にも夜は食堂みたいな飲み屋みたいなご飯屋さんもやっているんだよ。」

案内された食堂は、カウンター席が5つ。4人がけのテーブル席が6つ。

カウンター席の人は料理を作っている所を見れるようになっていた。

「日本と似てるな」

懐かしさのあまり、思わず心の声が漏れてしまった。