用意してくれた部屋はとっても広くて、綺麗。

ベッドもふかふか。

「お腹空いた〜」

ルシアはお腹が空いてしまったみたいで、少し不機嫌。

「さっきの人に聞いてみようか」

宿主のアルビナさんは食堂のような所にいた。

「アルビナさん。どこか美味しいご飯が食べられるところはありますか?」

「ああ、お昼時だからね。振舞ってあげたいが、宿の掃除とかしないとだしね。」

アルビナさんは腕を組んで考えた後、地図を書いてくれた。

「ここから5分位のところにあるお店は美味しいわよ。食べ終わったら、ここの施設で職業適性の診断をしておいで? 働かないと無一門になってしまうよ」

「ありがとうございます!」

アルビナさんは5分と言っていたが、歩くスピードが遅いせいか、それとも今まで感じていた時間がこの世界は違うのか分からないが、10分位歩いた。


「いらっしゃい。好きな席どうぞ」

椅子に座るとメニュー表とお水を受け取った。

「僕は、トマトパスタにするけど、ルシアは?」

「私はカルボナーラ!」

定員さんに注文すると、あっという間に届いた。

美味しそうに頬張るルシアを見ると何故か幸せは気分になる。

ルシアは言っていた。

獣の耳がついたって、スライムだって、ゴブリンでもコミュニケーションが取れれば人だって。

そもそも人間とか、スライムとか分けるのが可笑しいと。
見た目が違くても、いいじゃん。

同じ世界に生まれてきた仲間だもん。

そう言ったルシアはどこかずっと遠くを見ていた。

「食べないの?」

「食べるよ! そういえば、言語とかが分かるのはルシアのおかげだけど、パスタとか物の名前も一緒なんだね」

「それも私のおかげよ! さすがに名前が違うとどんな料理か分からないでしょ? でも、少し味とか違うかも」

「確かに! ルシアって優しいね」

「ありがとう」

料理が美味しすぎて、会話が無くなる。

この世界に日本食はあるのかな?

「ねえ、ルシア?」

「何?」

「他にも転生した人っているの?」

「ええ。何人だったか忘れたけど、結構いるわよ」

「じゃあこの世界にも?」

「残念ながらひとつの世界に転生できるのは1組って決まってるの」

「1組?」

「そう。何人も同じ世界に転生したらいつか争いが発展するかもしれないでしょ? それを防ぐため。」

「でも、そんな簡単に転生する人が集まるとは思わないけど?」