吟味した結果、醤油と味噌、きゅうりの漬物に緑茶、そしてホームシック防止の抹茶のお菓子を購入。

そろそろ戻らないとお米を炊けないので、戻りたいけれどルシアはまだまだ買い物を楽しみたいみたい。

「僕は戻るけれど、ルシアは?」

「私はまだ買い物楽しもうかな」

「じゃあ先に戻ってるね」

「了解!」

食堂に戻ると、すぐにお米を研いで水につけておく。

今日のメニューは生姜焼き定食とサバの味噌煮定食。

昨日より作るのが簡単だ。

サバをさばくのが大変だけれど、さばき終わったらあとは簡単。

生姜焼きは玉ねぎつき。

美味しそうな香りが食堂中に漂う頃、ルシアは帰ってきた。

「ただいま! 荷物置いたら手伝うね」

「おかえり、ありがとう」

買ったものは不思議な鞄の中だろう。


開店時間になる頃には、ドア先が賑わっていた。

「女の子が言ってた珍しい料理を出すお店ってここか?」

「どんな料理なんだろうね」

女の子というのはルシアかな?

「ルシア、みんなになんか言った?」

「うん!」

元気よく頷くルシア。

これ以上賑わっても他の人の迷惑になるので少し早いけれど開店することにした。

「いらっしゃいませ」

お客さんには自由に座ってもらうスタイル。

「なんだこれ?」

「これは味噌汁というものです」

「この茶色いのが汁?」

「美味しいですよ」

やっぱり和食は見たことが無いのかみんな不思議がっている。

恐る恐る手をつけるお客さん達。

「おっ、美味しい!」

「ツケモノ、はじめて食べたけど上手いな!」

美味しいと言ってくれて良かった。

「お兄さん、聞いてくださいよ」

お酒を飲んでいるカウンター席のお兄さん。僕より年上で狼の耳をつけている。

「ど、どうしたんですか?」

「ここのお兄さん、人生相談乗ってくれるって噂なんだよ」

誰がそんな噂を?

「僕より、人生経験豊富な方がいると思うけれど?」

「いちごサイダー飲んだ子が言ってたんだよ。お兄さんに相談したらアドバイスが貰えるって」

昨日のお客さんか。


「僕でよければ相談乗りますけれど、いいアドバイス出来なくても責めないでくださいよ?」

「そんなのわかってるよ」

「それで相談というのは?」

「妻の事なんだよ。最近子供の事ばかりで俺の事構ってくれないんだよ」

お酒が入っているせいか、僕にとってはどうでもいい相談。

けれど悩んでるなら仕方ない。