「ねえ、少し街を歩いてみましょ?」

「そうだね。時間もまだあるし」

部屋に戻り、ルールブックなどが入っている鞄を手に取り、再び外へ。

宿の前でワクワクしたながらルシアが待っている。

「お待たせ!」

「遅い! 早く行こ?」

腕を引っ張られながら、ルシアの行きたい所へ着いていく。

「この洋服可愛くない?」

「うん。かわいいよ」

「全く思ってないでしょ〜」

「思ってるよ」

「ほんとに?」

「ほんとに」

女の子の服については詳しくないので何も言えない。

とか思っていると、ケーキ屋さんの前から動かない。

「ルシアどうしたの?」

「美味しそう」

ヨダレを垂らしながら全く動かない。

「食べたい?」

「食べたい」

即答。

まぁ少しぐらいいいか。

お店に入り、いちごのケーキとチョコレートのケーキを頼む。

「イブキって妹いた?」

「なんで?」

「なんかお兄ちゃんって感じだし、イケメンと言われたらイケメンだけど、どちらかというと可愛いしとっても優しいし」

「年の離れた妹はが1人。ルシアみたいにケーキとかが好きな女の子だよ」

「なるほど」

「お待たせしました」

「ありがとうございます!」

いちごケーキを頼んだルシアはやっぱり僕の頼んだチョコレートケーキを食べたそうにしている。

「1口食べる?」

「いいの?」

「1口だよ?」

「やったぁ!」

美味しいと言いながら、パクパクと食べ進める。

チョコレートは程よい甘さでとっても美味しかった。

「次はどこ行くの?」

「特に決めてないけど、ぶらぶら歩こうと思って」

お店を出ると、隣のお店が賑わっていた。

『東の国商店』

お店の看板にはそう書いてある。

「行ってみない?」

「そうだね」

お店に入るとと見覚えのある商品ばかり。

醤油に、味噌に、うどんに……

東の国って日本のこと?

「イブキ! 変な味のが売ってる!」

試食コーナーには漬物が置いてあった。

「やっぱり日本のだ」

味噌や醤油があるということは、和食がより簡単に作れる。

「お兄さん、興味があるのかい?」

「ええ。故郷の調味料に似ていて」

「そうかい。ゆっくり見ていきな〜」

「はい」