アルビナさんにモーニングセットを出し、さっき考えていた事を伝えてみようかな?

「あの……」

「なんだい?」

「ここで僕の国の料理を作りたいのですが、この街の人が好んでくれるか分からなくて。主食もパンじゃなくてご飯…じゃなくてライスなんです」

「ライス……ライスは最近輸入を始めたばかりと言ってたし、高いからな」

予想通り、アルビナさんは考えていた。

「いいんじゃない? ここら辺の食事出来るところってメニュー一緒だし、1軒くらい違う料理を出しても」

「ルシア……」

食器洗いをしてくれているルシアは泡でもこもこしている指で僕のことを指さしていた。

「別にいいけど、ライスは高いからな」

「それも考えたんですけど、定食にしちゃえば少しはコストをカットできるかと?」

「テイショク?」

「はい。いくつかの料理が元々セットになっているんです。肉料理と魚料理をワンセットずつと考えてます」

「面白そうじゃない! 君達の好きなようにと昨日言ったし、やりたいようにやりなさい」

「ありがとうございます!」

「じゃあ、ライスの量を増やすよう連絡しとくわ」

「助かります!」

片付けを終え、自由時間になった午前10時。

ライスがどのくらいの粘り気があるかを調べるために、試しに炊いてみることにした。

けれど炊飯器なんて言う文明の力はないので、仕方なく小学生の家庭科で習った、鍋でのお米の炊き方を思い出しながらやってみる。

「何作ってるの?」

「ライスだよ。お米を見つけてさ、少し懐かしくなって炊いてみようと」

「お米って日本食になくてはならない存在よネ?」

「そう。けど、このお米が日本のお米に近いかどうかは分からなくて」

「炊けたら味見したい!」

「じゃあ、いい感じだったらおにぎり作ってあげるね」

「オニギリ?」

「そう。楽しみにしててね」

「うん!」