「起きて、起きてルシア!」

昨日の夜早起きは得意と言っていたのに、全然起きない。

もうかれこれ15分ぐらいは声をかけているが、何も反応無し。

しょうがないから朝ごはんは1人で準備をしよう。

食堂に行くと、沢山の箱を持ったおじさんがいた。

アルビナさんが言っていた材料を運んできてくれる人だろうか?

「おはようございます」

「おはよう。坊主が新しい料理人かい?」

「そうです。イブキと言います」

「そうか、イブキと言うのか」

髪の毛がぐちゃぐちゃになるほど僕の頭を撫で、「じゃあまたな!」と言って、出ていってしまった。

「元気な人だな」

ぽつりと心の声が漏れた。

運んできてくれた箱の中にはリストのような紙が入っていた。

魚や肉、果物やパン、沢山の種類の食料。

その中に『ライス』という単語を見つけた。

この街のお米って日本のようなお米かな?

国によってお米の粘り気は違うと誰か言ってたし、もし炊いてみて粘り気が少なかったらチャーハンにしようかな?

なんて考えてたら時間はあっという間に過ぎてしまった。

ここの街の朝ごはんってどんな感じなんだ?

お昼や夜はヨーロッパ系だったから、朝ごはんも?
けど洋食の朝ごはんなんて作ったことない。

パンを焼いて、サラダを作って、オムレツとコンソメスープ。

有難いことに、ウィンナーがあったので、それも焼く。

人数分の料理が完成し、時計を見るとちょうど良い時間。

洋食を作るのに限界はある。和食だったら沢山作れるんだけど、この街にの人の口に合うかどうか……

「おはよう、イブキ!」

「おはよう、ルシア」

眠たい目を擦りながら来ると思ったら、意外と眠たくなさそう。

「なんで起こしてくれなかったの? 私楽しみにしてたのに」

カウンターの席に座りながら話すルシアは「朝はほとんど食べないの」と言って、スープだけを頼んだ。

「おはよう!」

「おはようございます!」

「お腹空いた〜」

次々に朝ごはんを食べに来てくれる人達に挨拶をしながら、今日のモーニングセットを出す。

夜もセットとか、定食とかにしたら少しは作るのが楽になるかな?

後でアルビナさんに聞いてみよう。

朝ごはんを食べ終わった皆は「今日も頑張るか」と言って仕事場へ向かった。

「おはよう!」

「おはようございます、アルビナさん!」

「朝からありがとうね。 夜の仕込みまでは自由にしてていいからさ」

「はい」