「貴様ら人間は、人が来てくれるのを待つとか、勇者が魔王を滅ぼしてくれるのを待つといった姿勢だからいかんのだ! 我は魔王! 逃げも隠れもせんぞっ! 客が来ないならば、こちらから来させるようにしてやるわっ!」


突然何を思ったのか、魔王がカウンターを飛び越えると、ズロース姿のままで店を飛び出して行ってしまいました!


妙な事を口走っていたし、おかしな事をしなければ良いんですけど……。













しないはずがありませんよね!


「ちょっと!待ってください魔王さん!」


私も慌てて魔王を追い掛けて店を出ます。






すると、なんという事でしょう。












店の前を通りかかる人、通りかかる人に、魔王が毒の息を吐きかけているではありませんか!


「ふははははは! 苦しくなったら道具屋に! 貴様らのその苦しみを、毒消しが消し去ってくれるであろう!」


なんて営業熱心な魔王!


いや、そうじゃありません!


「何をやってるんですか! その行為は禁止事項ですよ!」


「ぬぬっ! 禁止事項とな!」


驚く魔王に、私は世界道具屋大全を開いて見せた。


【禁止事項について】
道具屋が、利益を追求する為に、他人に損害を与えて商品を売り付ける事を禁ずる。
なお、万が一他人に損害を与えた場合、道具屋が全ての責任を負うものとする。
「世界道具屋大全」より抜粋。