「ま、魔王さんが突然独り言を叫んで、外に出たから心配したんじゃないですか! いつもおかしいけど、今日は凄くおかしかったから」


「ふはははははっ! わしを心配するなど1000年早いわ! 安心しろ。借金を踏み倒して逃げるような事はせんからな」


フッと笑みを浮かべて、こちらに向かって歩いて来る魔王。


いや、そっちじゃなくて……認知症が。


でも、認知症じゃなかったから良かったです。


「でも、魔王さん。本当に帰らければならないなら、帰っても良いんですよ? なんせ魔王さんは、この村の恩人なんですからね」


……まあ、フランソワーズ北村さんは死んでしまいましたけど。


今年の世界小麦部門、王様セレクション最高金賞が獲れなくなったのが残念ですね。


「貴様はバカか。ワシラスを消滅させたのは、道具屋の仕事ではないだろう。わしは道具屋の仕事で借金を返済するのだ! ふはははははっ!」


確かに道具屋の仕事ではないですけど……村を守ってくれたというのは事実なんですがね。


仕方ないですね。


魔王がこの村を気に入って、もう少しここにいたいと思っているという事にしましょうか。


そして私は、魔王と一緒にお店に戻りました。