なんとか二人ののぼるを追い出し、店を閉店しました。


食事とお風呂を済ませ、寝る準備万端で部屋に戻ります。


隣の部屋は魔王の部屋で、夜遅くまでブツブツと独り言が聞こえて来るのです。


「ふははは! よくぞここまで来た勇者よ。おとなしく我が配下に殺されていたら良いものを……死んでも逃れられない永遠の苦しみを……何か違うな」


……聞かれたら恥ずかしいセリフの練習ですか!


ロウソクがたくさん立てられた部屋で、こんな事を言っているかと思うと、何だか笑えますね。


だからたまにイタズラをしてみます。


「わしの眠りを妨げる者は誰だ……貴様は……」


ここで壁を叩いてみるのです!


バンッと魔王の部屋側の壁を叩くと、驚くのです。


「伝説の勇ひゃっ!? ゲフンゲフン」


ほら、我に返りました。


まあ、魔王の声は低いから、寝るのに心地良くて邪魔にならないから良いんですけどね。


こんな感じで、夜は更けて行きます。


私は明日の為にベッドに入り、魔王は隣の部屋でセリフの練習をする。


だけど、今日はこれで終わらなかったのです。


ふわっふわっと眠りに落ちそうになっていた時。


それは訪れたのです。