魔王が村人の厚意を断り、村人の為に回復薬を用意してやれと言ったのですね。


それはわかったのですが、このまま働いていても借金返済なんて出来ないのに、どうして甘えないのかというところがわかりませんね。


太陽が山に沈んで、夜が訪れたので店じまいです。


今日はほとんど店にいなかったので、綺麗なもんです。


一応ホウキで店内を掃いて、閉店しようとした時でした。


バンッとドアを開けて、店内に転がり込んで来た人の影。









「ハァ……ハァ……か、回復薬を……もうダメ、死にそ」


「お、俺が先だ! お前は何もしてねぇだろ!」


あ、そう言えば……のぼるズが魔物退治に出掛けていたんでした。


えっと……ゴブリンのボスを倒しに行ったんでしたっけ?


「ゴブリンを三匹も倒したんだけどな……ボスは俺に恐れをなして逃げたみたいだったぜ」


「倒したのは俺だろ! お前は一撃で気絶して、俺の足を引っ張ってただけだ!」


……うん。


この村も大変だったけど、のぼるズもなかなか大変だったみたいですね。


大変さの次元が違いますけど。


「いやあ、俺の活躍を……見せたかったぜ」


伝説の勇者のぼる……この村にいなくて良かったですね。


絶対にワシラスに殺されてましたよ。