魔物の襲撃を何とかしのぎ、皆村の集会所で傷の手当てをしていました。


こういう時は、商売抜きで回復薬を皆さんに提供するのが道具屋としての勤めです。




【災害時・緊急時について】
道具屋は、この時に町(村)の住人が負傷した時に無償で回復薬の提供をしても良い。
なお、この時に提供した回復薬代は、世界道具屋協会に申請すれば元の代金の7割支払われる。
かつて、伝説の道具屋スミス・シュナイダーが災害時に、無償で回復薬を提供した事で、世界道具屋協会も道具屋の生活を守ろうと作られた制度である。
(世界道具屋大全「道具屋の保障」より抜粋)





「魔王さん、回復薬をこっちにもください! 三本で良いです!」


「ええい! だから貴様はダメなのだ! しっかり準備をして、災害時に備えるのは道具屋として当然であろう!」


集会所の中を駆け回り、魔王が回復薬を私に手渡します。


まさか、魔王に道具屋について説かれるとは思いませんでしたが、それだけ成長したという事でしょうか?


「みのるちゃん、こっちも手伝っておくれ。包帯が足りないんだよ」


「おのれメアリー! ワシを名前で呼びおって! 覚えておれよ!」


メアリーおばあちゃんに文句を言いながらも、魔王は忙しなく動いていました。