「騒がしいから何が起こっているかと戻ってみれば……ワシラスよ、貴様はこの村で何をしている」


その声に、村人全員が振り返りました。


「あ……ま、魔王さん」


そう、そこにいたのは、マスターにおつかいを頼まれて素材集めに行った魔王だったのです。


民家の屋根の上でマントを翻して、にくいタイミングで登場ですよ！


「ま、まさか……貴様は魔王みのる……バカな！ 新魔王かずお様の策略で、ドラゴンから落ちて死んだはず！ よもや生きておったとは……」











面白いくらい裏事情を吐きましたね、この死にかけのワシラスは。


身体が消滅したのに、頭部だけで話が出来るのも驚きますけど。


「なるほどな。普段ヘアワックスを付けないドラゴンが、あの日に限って付けていたわけだ。よかろう。これ以上苦しまぬよう、貴様には死をくれてやる。ありがたく思え」


そう言って魔王は、手から闇の球体を放ちました。


それがワシラスの頭部に直撃し、声を上げる間もなく消滅。


村に訪れた危機は……魔王の活躍によって回避する事が出来たのです。


「ふははははっ!! この魔王が支配する村を襲おうなどと1000年早いわ！」


何か妙な事を言っていますが、村人は魔王に感謝して賞賛の声を上げました。