さらにワシラスが膨れ上がり、私達に降り注ぐ熱線が、もう耐えられるようなレベルじゃなくなりつつあります。


「くそっ! 皆、村から離れろ! 少しでも遠くに、爆発に巻き込まれないように!」


ミッチェル杉下さんが声を上げましたが……誰も逃げようなんて思っていないようです。


「ひ、ひえええ……こっただことになるなんて、思わなかったっぺよ」


あ、農家のボブさんは逃げようとしていますけど、あえて見なかった事にしておきますね。


「グゲゲゲゲッ! ワシラス様の自爆を舐めるなよ!! 半径15キロ、全てを焼き尽くして草木も残らんわ! 魔物を舐めた罪を死を持って味わえいっ!」










半径15キロとか、この魔物はバカなんですか!?


なんでこんな魔物が下っ端でいるんですか!


一匹だけで余裕で王都を制圧出来るじゃないですか!


そんな事を考えている間にも、ワシラスはどんどん膨れ上がって行きます。


そして、もう爆発する!


と、思ったところで……突然それは起こりました。


「グゲゲゲゲッ! グゲッ?」


ワシラスの身体が……まるで何かに削り取られたかのように、消滅してしまったのです。


何が起こったのかわからない私達とワシラス。


そんな私達の背後から、声が聞こえたのです。