ほんの一瞬の空の旅を終えた私達は、ドイナーカ村の入り口に立っていました。


「ドイナーカの村は……平和ですね。魔王はしっかりと店番をしていたみたいです」


さて、村に戻って来たから、早速聖なる雫で山岡さんを正気に戻さなければなりません。


「そのようだな。もうすぐ日が暮れる。店に戻って山岡が暴れ始めるのを待つぞ」


ただの道具屋なのに、やっている事は一流の冒険者ですね。


さすがはマスターです!


「あ、この臭いのぼるはどうするんですか?」


こんな臭いうんこまみれののぼるを、店に連れて行くのはごめんです。


「放っておけ。目を覚ましたら自分で家に帰るだろ」


畑にでも埋めれば、良い肥やしになると思うんですけどね。


そんな事を考えながら、私とマスターは店に戻りました。













「ただいまです!」


店のドアを開けると、カウンターの向こうで魔王が満面の笑みで私達を迎えました。




「フハハハハッ! よくぞ道具屋に来たっ! 貴様の黄泉への旅路のお供に、回復薬は……ん? なんだ、貴様らか。この魔王の店番っぷりに、驚きを隠せないようだな!」





うーん、まだまだ合格点とは言えないですが、笑顔が爽やかだったので良しとします。