身長202cm、体重160kgのマスターが、私達を見下ろします。


「えっとですね、この魔王さんが死にかけていたので回復薬を使ったんですけど、お財布を落としたみたいで、代金を支払えないようなので働いてもらいます」


私がそう言うと、口にくわえたパイプから煙を出すと共に、「チッ」と舌打ちを一つ。


魔王を睨みつけると、小さく口を開きました。


「ふん、好きにしろ。だが、うちは歩合制だ。働きが悪ければ給料はやらんからな」


そう言って、店の奥の部屋に戻って行ったのです。


自分よりも背が高くて、超マッチョのマスターにビビったのでしょうか。


魔王は「ふはははは」の表情のまま固まっています。


ガクガクと膝が震えて、何か恐ろしい物でも見たかのような。


「良かったですね、働かせてもらえるみたいですよ。私がお店の仕事を教えるので、早くお金を返しましょうね、魔王さん!」


私の言葉で我に返ったのか、ビクンと動いて額の汗を腕で拭った魔王が口を開きます。










「娘よ……その前に一つ。ここに替えのパンツは売っておらぬか?」









どうやら、マスターにビビってチビったようですね。