なんだか、のぼるがいるだけで話が進まないような気がします。


なので無視して山を登る事にしますね。


霊山セイナールを登り始めて30分。


聖なる泉まで、一直線の道を歩いていますが……突然、上の方から大きな岩が転がり落ちて来ました!


「わ、わわっ! マスター! どうするんですか! 岩が、岩が!」


ゴロゴロと派手な音を立てて、私達に向かって来ます!


「こいつぁ……魔物の仕業だな。横に飛べっ! こんなの食らったら、お前らじゃあひとたまりもないぞ!」


「は、はいっ!」


マスターの言葉に、慌てて道の脇に飛び退きます!


草の上に滑り込み、木の陰に隠れてなんとか一安心。















「ヘブンッ!」










……のぼるは避け切れずに直撃を食らったようです。


岩に巻き込まれて村まで戻されると、岩の進路上にあった道具屋に直撃して、家屋が倒壊してしまいました。


ま、まあ……のぼるがいなくても大丈夫ですし、私はマスターに食らいついて登るだけです。


「まずいな……岩を転がされ続けたら、フモート村が壊滅しちまうぞ。疲れるのは嫌だが、そんな事も言ってられねえな」


ブツブツと独り言を呟いたマスターが、覚悟を決めた様子で道の真ん中に飛び出しました。