おもらし中年太りのせいで、壊滅の危機に陥った村を救うために、フモート村から霊山セイナールの参道に入った私達。


聖なる泉までは一本道。


コングデビルも一昨日からそこにいるとの事で、実に無駄のない展開です。


参道を歩き始めて数分……突然異変が!







「お、俺はもうダメみたいだ……体力の限界だよ……すまねぇ、マチルダちゃん」








のぼるのHPが0になろうとしていました。


なんと言うか……ここまで虚弱な人間を見た事がありません。


勇者とかいう以前の問題です。


「……未来、回復薬をくれてやれ。もちろん金は取れよ。慈善事業じゃないんだからな」


マスターも人が良いんだから。


こんなやつ、そこら辺に転がしておけば良いのに。


だけど、マスターがそう言うなら、私はそれに従うまでです。


私の道具袋から回復薬を取り出して、のぼるに手渡します。


「す、すまねえ……でも、それを持つ力もないみたいだ……ぜひとも口移しで……」


目を閉じ、唇を尖らせたのぼる。


無言でその唇に回復薬の瓶の口を突っ込み、無理矢理飲ませて体力を回復させます。


「あばば……お、溺れる……た、助け……」


急に口の中に入って来た回復薬で、溺れそうになりながらも、何とか体力を回復する事が出来た様子ののぼる。


とりあえず、さっきの気持ち悪い顔を見せた罰として、ビンタをしてやりました。