この中年太りは、最低のFランクだと思います。


詳しくは知らないけど、きっとそう!


マスターと中年太りの話は平行線。


素直に任せれば良いのに、どうしてこんなに突っぱねてるんですかね!?


でも……そんな中、あのバカが口を開きました。


「おっさん、ここは俺達に任せなよ。なんたって俺は……伝説の勇者のぼる様なんだからよ!」


スライムにも勝てない、最弱の勇者ですけどね。


どうしてこんなのが伝説の勇者なんだか。


運命のイタズラにしても、神様の気まぐれにしても、限度って物があるでしょ。


これは世界に対する暴挙ですよ。


だけど、そんな事を知らない中年太りは、のぼるが見せたお尻のハートのアザを見て驚きました。


「そ、その印は! 間違いない……伝説の勇者様だ! そ、そうか、勇者様がいるなら、コングデビルだって恐れるに足りんぞ!」


いや、今まで通り恐れていた方が身の為ですよ。


スライムにも勝てない勇者が、そんな強そうな魔物に勝てるわけがないんですから。


「俺がコングデビルと取り引きして来てやる。それで……成功報酬として、今度またマチルダちゃんがこの村に来たら、教えてほしいんだけど……」


「うわぁ、死ねばいいのに」


こんな伝説の勇者、死んでしまえば良いのにと思ったのは内緒にしておきます。


心の声が漏れたような気もしますが。