どうやら、チビるのを止められなくなったようで、下半身丸出しでおしっこを垂れ流したまま、中年太りがようやく私達に情報をポツリポツリと話し始めます。


「忘れもしねえ……あれは一昨日の事だ」


そんな最近の事、忘れなくて当然です!


忘れもしねえなんて言うから、どれだけ前の事かと思ったじゃないですか。


「その日は丁度、この辺りを支配している魔獣コングデビルとの取り引きの日だったんだ」


魔物と取り引き……世界道具屋大全にも載ってたやつです。


道具屋だけでなく、武器屋や防具屋も、魔物と取り引きをするってやつ。


「聖なる泉とこの村は、コングデビルと取り引きをする事で、襲わないという取り決めだったんだが……のっぴきならない事情で、取り引きをすっぽかしちまってな」


「なるほど、それで魔物が怒り狂って、聖なる泉を占拠しちまったってわけか。だが、もう一度取り引きを行えば良いだけじゃないのか?」


このおもらし中年太りの取り引き一つで村の存亡の危機とか、やってられないですね。


一体どれだけチビれば気が済むのか、汚ねえおしっこが私の足元にまで迫ろうとしていますよ。


しかし、マスターの言う通り、どうして再度取り引きをしなかったのかも気になります。


「いやあ、ダメだ。コングデビルは時間に厳しい。うちのじいちゃんが昔、やつとの取り引きの時間に10秒遅刻しただけで、うんこを投げ付けられてな……それから2年は匂いが取れなかったんだ。恐ろし過ぎて、とても行けねぇよ!」