まあ、村人がこんな様子じゃあ、大した情報を持っていないかもしれませんが、少しでも何かわかればと。


そして、道具屋までやって来てドアを開けると、カウンターの向こうに中年太りのおっさんが気だるそうに座っていました。


「いらっしゃい……っつっても、あんたらも山を見ただろ?魔物のせいで道具を調達出来なくてね。売れるものなんて何もねぇよ。そんなところに突っ立ってられると邪魔だ! 早く帰ってクソして寝な!」













……魔王よりも酷い接客を初めて見ました。


この場に魔王がいたら、消滅魔法でこのおっさんを消し去っているところです!


マスターはムスッとしてるし、のぼるなんて今の一言で泣いてしまいそうです。


「……ドイナーカの道具屋だ。お前のような底辺の商売人が知っているとは思えんが、なぜ霊山セイナールがあんな事になっている。持っている情報を全部教えろ」


静かにカウンターに歩み寄ったマスターが、中年太りを威嚇するように覗き込みます。


こんなやる気のない道具屋が、情報なんて……と思いましたが。





「な、な、ななななななな、何も知らねぇ!! 俺は何も悪い事はしちゃいねぇっ!! そ、そうさ、俺のせいじゃねぇ! わかったら帰んな!」







めっちゃわかりやすく、何か情報を握っているのがわかりました。


「何も知らないのか、お手上げだな」


困ったような表情で首を横に振っていますが、のぼるの脳みそはきっと梅干しに違いありません。