「なに? どうしてドラゴンの言葉がわかったかだと? 道具屋見習いの癖にこれを知らないのか?」


私の質問に、呆れたような表情を浮かべて、耳から何かを取り出したマスター。


小さな巻貝のような物が、その手に乗っていたのです。


「もしかしてこれ……ツーヤク貝ですか?」







【商品No.47:ツーヤク貝】
これさえあれば可愛いペットや、にっくきモンスターの声が聞けてしまう!
モンスター相手に商売をする時には必須のアイテムです!
今なら、人間の声をモンスターやペットの言語に変換出来る「ホンヤク石」とセットで、お値段変わらず19800G!
(「道具カタログ第12号」より抜粋)







「ああ、そうだ。いずれ未来にも必要になる時が来るだろう。その時には俺が用意してやる」


二つセットで19800Gもするアイテムを、簡単に用意してくれるなんて……。











うちの店、そんなに儲かってないけど良いんですか?


毎日の売り上げは30G行けば良い方なんですよ?


それに、今は魔王なんてアルバイトも雇っているわけですし。


私の心配もよそに、マスターは先ほど折ったドラゴンの角を拾い上げ、こちらに戻って来ます。


「う、うーん……や、闇が、闇が……ハッ!」


ドラゴンがいなくなった、絶好のタイミングでのぼるが目を覚ましたようですね。