「未来、見ていろ。これが一流の道具屋に求められる強さだ!」


拳を握り締めて、マスターが走り出しました!


ドスンドスンと重い身体を動かして、ドラゴンに迫ります!


「ぬぅぅぅぅんっ! くらえ化け物!」


助走を付けて飛び上がり、ドラゴンの角を掴むと、頭部目掛けて拳が振り下ろされます。








ゴパァン!!







と、恐ろしい破壊音が聞こえて……ドラゴンを秒速ノックダウン。


折れた角を地面に投げ捨て、尻尾の方に移動します。


そして、それを脇に抱えて。


「ぬんどりゃああああああっ!」


物凄く軽そうに、ポイッと放り投げて……ドラゴンは、山の向こうに消え去ったのです。













なんですかマスター、クソ強い。












炎をデコピンで弾き飛ばすとか人間業じゃないし、パンチ一発でドラゴンを倒すとか、もはや道具屋の域を超えた強さです。


魔王がマスターを見て、チビるのも無理はないですね。


「やれやれ、勇者のぼるを差し出せとか、聞けねえ相談だろ。手荒な事をしちまったが、まあ自業自得だ」


かすり傷一つ、火傷一つ負っていないマスターを見て、この人なら勇者じゃなくても魔王を倒せるんじゃないかと思いました。