おやおや、もしかしてこれが皆既日食というやつでしょうか。


世紀の天体ショーが見られるなんてツイてますね!


そう思い、ゆっくりと空を見上げると、そこには巨大な鳥……いえ、ドラゴンが私達を見ていたのです!


「は、はわわわわ……皆既日食じゃありませんでした! ド、ドラゴンです。ど、どうしてこんな所に……」


「どんな間違いだそりゃあ。こいつらは空を飛べるからな。どこにいても不思議じゃない。未来、これを持ってろ」


落ち着いた様子でマスターは、たすき掛けにしていた道具袋を私に渡して、肩をグルグルと回します。


まさか、こんなモンスターと戦うつもりでしょうか?


「グオオオオオッ!」


地面に降り立ったドラゴンが、激しく吠えます!


この騒音の中、眠っていられるのぼるはある意味凄いです!


「ふんふん……なるほどな。だが、そいつは出来ない相談だ。悪いが帰ってくれや」


マスターは誰と会話をしているんでしょうか?


そんな事を言っている間にも、ドラゴンが口に炎を溜めて、巨大な火球を吐き出しました!


あ、熱いっ! 熱すぎる! これはさすがに死んだと思いましたが。


「ふんっ!」


なんとマスターは、迫り来る火球をデコピン一発で弾き飛ばしたのです!


呆気に取られる私……と、ドラゴン。


そして、マスターのターンです。