スライムを倒した後、道端の草むらにのぼるを寝かせて、仕方なく介抱する事にしました。


「うーん……闇が……闇が世界に迫って来る! おのれ魔王め! 俺の必殺シャイニングソードをくらえ! むにゃむにゃ……」


たかがスライムにやられたのに、寝言だけは随分スケールが大きいんですね。


「マスター、どうしましょう? 連れて行っても邪魔になるし、ここに置いて行きましょうか?」


「それでも構わんが、放っておくと、モンスターに食われちまうぞ」


うーん、いくらのぼるが嫌いでも、それでは目覚めが悪いですね。


仕方ありません。


目が覚めるまで待ってあげるとしましょう。


「それにしてもマスター。モンスターを倒すとお金が手に入るんですね。だったら、ずっとモンスター退治をすれば、楽にお金が稼げるんじゃないですか?」


スライムを倒して手に入れた1Gを見ながら、私はニコニコしてそう尋ねました。


でも、マスターは首を横に振って答えたのです。


「それは違うな。お前には言ってなかったが、我々の商売は何も人間に限った事じゃない。武器屋も防具屋も、道具屋も、モンスターを相手に商売をする事がある。やつらもアイテムを買う為に旅人を襲って金を奪うんだ。おかしいと思わないか?なぜモンスターが人間の金を持っているかってな」