のぼるは……やっぱり弱かったです。


スライム一匹倒す事が出来ずに、攻め疲れた所を秒速ノックダウン。


よくもまあ、それで魔王を倒すなんて言えたもんですね。


私が知っている魔王なら、きっと「ふははははは」って笑っていますよ、!


「やれやれ、予想通りだな。俺がやっても良いが……未来、お前がやってみろ」


そう言ってマスターは、私にナイフを手渡してくれました。


とは言え……一応、伝説の勇者が負けるような相手に、私なんかが勝つ事が出来るのか不安です。


「道具屋をやっていれば、こういう場面には頻繁に出くわす。自分の身くらい、自分で守れないとな」


マスターの手が、私の肩に優しく置かれました。


そうです。


私は立派な道具屋になるんです。


だから、こんなモンスターくらい自力でどうにかするしかありません!


「わ、わかりました。えいっ!」


覚悟を決めて、ナイフをスライムに突き刺しました!


すると……プルプルと震えて、その身体が溶けるように消えてしまったのです。


「よし、良くやったな。こいつは世界最弱のモンスターだ。5歳児でも負ける事はないだろう」

















いや、のぼるが負けてますけど。


世界最弱のモンスターに負けるとか、どれだけ弱い伝説の勇者なんですか。