「だからさあ、俺は魔王を倒したら、ダイトカーイの町に家を建てて、可愛い女の子だけと一緒に住んで、毎日楽しく暮らしたいんだよ。一生遊んで暮らせるだけの褒美を王様にもらってさぁ」


私とマスターの後ろで、言わなくても良い人生設計を嬉しそうに語ってます。


それにしてもどれだけゲスいんですかね!


魔物に苦しめられている人達を助けるとかいう、勇者らしい動機はないんですか!


こんなやつが伝説の勇者なんて世も末です。


「人生そんなに甘くないと思いますよ? それにのぼるは弱いんですから、魔王を倒すまでにおじいちゃんになってしまいます」


「おいおい、嫉妬するなよ未来。俺が魔王を倒したら、最初の恋人はお前って決めてるんだぜ! だから安心しな」












こいつ、やっぱりバカです。


私がこんなに嫌っているのをわからないんですかね?


のぼるの恋人になるくらいなら、一生一人でいますから。


バチコンバチコンとウインクしてきますが、私はそれを見ないように歩き続けます。


マスターも、その話を聞いて不機嫌そうにパイプをふかしています。


そうして歩く事10分。


目の前に、弱いモンスターの代名詞、スライムが現れました!


「ヘイヘイ、現れやがったな!マスター、未来。ここは俺に任せてくれよ!」


そう言ってのぼるが、村で売っている一番安い剣を取り出して、私達の前に飛び出しました!