「ヘイヘイッ!おっさんと可愛い女の子が、一体どこにお出掛けだい?どうしてもって言うのなら、この俺も付いて行ってやるぜっ!」


私達の進路を塞ぎ、のぼるが調子に乗った様子で声を上げます。


でも、私とマスターは、そんなのぼるを完全に無視。


この人はかまってちゃんなので、相手にしちゃダメなのです。


「む、無視しないでくれよぉ。俺も連れてってくれよぉ。早く強くなって魔王を倒して、女の子をはべらせて遊びたいんだよぉ」


伝説の勇者にあるまじき、とんでもない発言を口にしましたよ!


だから嫌いなんですこの人!


マスターの足にしがみついて、意地でも付いて来ようとしているようです。


「……勝手にしろ。だが、俺達が行くのは素材採取だ。モンスター退治ではないから強くなんてなれないぞ」


「それでも良いよぉ。女の子に自慢出来る武勇伝になりそうなら、何だって良いよぉ」


道具屋のお仕事をなめているんですかね?


伝説の勇者なら、もっと地道に頑張ってほしいもんです。


私は連れて行く事に大反対なんですが……マスターが良いって言うなら連れて行かないわけにはいきません。


仕方なく、勇者のぼるを仲間に加えて、聖なる雫採取の旅に出発です。