いや、魔王のことですよ。


自分のことを自分で頭のおかしなやつと言っていれば世話ないですね。

「おやまあ。あなた、素敵な笑顔ね。ふふふ。ああ、お金を渡さなきゃね」


そこはさすがおばあちゃん。


怖いものは今までの人生の中で見慣れていると言わんばかりに、魔王にも笑顔を向けます。


「むっ。貴様、足が悪いと聞いたぞ。無理をせずに休んでおれ。金は勝手に取って行く。どこにあるか言え」


そう言うと、魔王はパンの包みをおばあちゃんの膝に置き、部屋の中をキョロキョロと見回し始めたのです。


「それにしても……うぷっ。足が悪いと家の掃除もできんものか。なんと埃っぽい小屋よ」


随分と失礼ですね魔王は。


もっとメアリーおばあちゃんを気遣うということが出来ないんですかね!


「最後に掃除をしたのはいつだったかねぇ。ああ、そうそう、!お金は私が肌身離さず持ってるよ。動くのも辛いからねえ。手元にないと困るのよ」


そう言って、おばあちゃんが首から下げていた財布を手に取り、中から5Gを取り出した。


魔王の手にお金を置き、ニッコリと微笑んだおばあちゃん。


「……そんなに足が痛むか。どれ、ワシに見せてみろ」


おばあちゃんを見て、何か思う所があったのでしょうか。


魔王が膝を付いて、足をジッと見たのです。


一体、何をしようと言うのでしょうか。