「で、ここから商売の話になるんだが……不死鳥の羽毛も特別な道具も、結構値が張る道具でな、代金を頂きたいんだが」


流石マスター、商魂たくましい!


こんな所に来ても、お金を取る事は忘れていません!


「ふはははははっ! 面白い。ここはワシのホーム! 金などいくらでも払ってやるわ! いくらだ!」


「しめて6500Gになります」


「安い! 安いわっ! その程度の金、すぐにでも……あれ?」


魔王は腰の辺りをまさぐっていますが、そこにあるはずの財布がありません。


それもそのはずです。


魔王を倒した後、のぼるが財布を奪って帰って行ったのですから。


「ま、また財布がっ! おのれ! だがここは魔界だ! どうとでもなるわっ! グレゴリー! グレゴリーはおらぬかっ!」


……私は見ました。


のぼるズが、グレゴリーさんを踏み潰して身ぐるみ剥がして、魔界の谷底に叩き落としたのを。


勇者と言うより、盗賊団みたいでした。


「いないみたいだな。さあ、金が払えないなら、働いて返してもらう事になるが……どうする?」


金を失い、従者も失った魔王に……手は残されていませんでした。


私達の魔界の旅は、魔王に借金を負わせて幕を閉じたのです。