魔王……突然私の目の前に落ちてきて、借金を返す為に短い間だけど一緒に暮らした仲間。


魔物とは言え、そんな人が死んでしまうというのは……悲しいです。


「魔王さん、もう終わったんですよ。死んだふりはもう良いですから、目を開けてください」


そう言っても、目を開ける事はないとわかっていましたけど、そうするしかなかったです。


伝説の勇者と魔王との戦いに、私達は手出しが出来ないのですから。


案の定、魔王は目を開けませんでした。


呼吸もしていなくて、脈もない。


今の伝説の武器の攻撃で、死んでしまったという事は、紛れもない事実です。


ありがとう……魔王。


あなたという道具屋の後輩を、私は忘れないです。














なんて言うとでも思ったんですかね!?


「マスター、黙って見てないで、早く生き返らせてください。持って来てるんですよね? 不死鳥の羽毛(蘇生アイテム)」


そう私が尋ねると、マスターは道具袋に手を入れ、むんずと不死鳥の羽毛を掴んでそれを引き出しました。


「やれやれ、抜け目ねぇな。伊達に十数年道具屋稼業をやってねえって事か」