……のぼる達がここに入って、まだ5分も経っていないのに、どんな濃密な死闘が繰り広げられたんですか。


「ここまでだな、魔王! 俺達は強くなった。お前に負けたあの日、弱かったのぼるは死んだんだ! 俺はのぼる! 強い伝説の勇者のぼるだ!!」


調子に乗ってのぼるが名乗りを上げています!


それを見て、マスターが慌てて道具袋から何かを取り出そうとしていますけど……何をするつもりでしょう。


「バカ野郎! 展開が早すぎるんだよ!」


慌てて取り出したのは……きったねえ団子のようなもの。


きったねえだけじゃなく、くっせえです!


「間に合え! ぬううううううんっ!!」


小さくそう叫んで、マスターがきったねえ団子を魔王に投げつけました!


きっと、最高時速180kmは出ていそうです!


その団子は、魔王の口に向かって一直線!


あ、入る! と思われたその時です!


魔王がガクッと膝をつき、口の位置が変わってしまいました!


これじゃあ、くっせえ団子は魔王の頭上を通り過ぎます!


しかし、そう考えた私の考えの遥か上を、マスターは行っているという事を思い知らされました。


「そうだ、お前が膝をつくのは分かっていた」