そりゃそうですよねえ。


マスターはいつも作業場でチマチマ道具を作ってるだけの親父ですし。


「何が伝説の勇者だい! マスターも伝説だろ! 伝説の道具屋スミス・シュナイダーだろ!! 同じ伝説なら何とかしておくれよ!」












……はい?


マスターがあの伝説の道具屋スミス・シュナイダー?


世界道具屋大全にもチョロチョロ載っている、全ての道具を作る事が出来る、情報を教えてもらえなくて村一つを滅ぼしたスミス・シュナイダー!?


いつもマスターと呼んでいたから気付かなかったです……。


そう言えば村の皆、マスターとしか呼ばないなあと思ってはいましたが。

「馬鹿野郎! 俺はもうその名は捨てた。今はただの道具屋アルベルト・フランクリンだ」

そっちの名前の方が知らないです。


スミスだろうとアルベルトだろうとどっちでも良いです!


まさかこんな場所でマスターの正体が明らかになるとは……。


「勇者ではない者よ……去れ!」


新生魔王の前で、わーわー騒いでいた私達にイラついたのでしょうか。


魔王が私達に手を広げると、目に見える紫色の波動が私達を襲い……気が付けば、あの階段の下にいたのです。