魔王がどうなっているのか、以前とどう変わったのか、見るまではグレゴリーさんの言葉を信じる事は出来ません。


階段を上っている私達に、会話はありません。


不安そうな真希さんに、いつもと変わらない表情のマスター。


早く上り切りたいのに、まだ着いて欲しくないような……。


だけど、その時は必ず訪れるものです。


階段の先……闇の中に入ると、ぱあっと開けた空間が私の目に飛び込んで来ました。


開けたと言うよりは……淡く輝く魔法陣の上に、私達はいるようですね。


今まで見た事もないような星空が、頭上に広がっています。


まるで、私も空の星になったかのような錯覚を覚えるほどの、満天の星空が。


そして、魔法陣の真ん中。


魔物の骨で作られたであろう、大きな玉座に、頭を抱えて座っているのは……魔王ですっ!


「魔王っ! やっと会えた! あんたの子が私の……」


「待てっ! 真希! 近寄るなっ! 何かがおかしいっ!」


何かを感じたのか、マスターが真希さんの腕を掴んでそれを止めました。


確かに!


この魔王はブーメランパンツでもズロースでもなく、スパッツを穿いています!


今更になって恥ずかしくなったのでしょうか!









「ぬうううっ……ワシは誰だ。身体が熱い! 魔力が抑えられん! だが、やる事だけはわかっている! 伝説の勇者のぼるよ! 貴様を滅ぼさねばならんという事だけはな!」