山岡さんは助けたものの、のぼるはどこに行ったのかわかりません。


まあ、あいつは殺しても死ぬようなやつじゃないから、放っておいても良いですけどね。


「やれやれ。やつが使っていた部屋も、明日掃除しなければな。未来、頼めるか?」


店に戻った私とマスターは、二階を見上げてちょっとしんみり。


いつも騒がしい魔王がいなくなったから、店内は静かになってしまいました。


「わかりました。あ、部屋がどんな感じか見てきますね」


「ああ、店じまいは俺がやっておく」


私の気持ちを察してくれたのか、マスターがそう呟いて頭を撫でてくれます。


その言葉に甘えて、二階に向かった私は、魔王が使っていた部屋に。


ロウソク塗れの、気味の悪い部屋なんだろうなと、ゆっくりドアを開けると……。











中は、魔王に貸した時と同じで、綺麗に元通りになっていたのです。


「へえ、掃除して帰るなんて感心じゃないですか。これなら、私が掃除する必要はないですね」


そう思いながら部屋の中を歩くと、微かに魔王の匂いが残っている事に気が付きました。











……加齢臭です。


ちょっと気持ち悪くなりながらも、部屋の中ほどに置かれたテーブルに近付くと、紙が置いてありました。