あ、このドラゴンが魔王を乗せていたドラゴンなんですね。


それにしてもペスって……ペット感が溢れ出ています。


オシャレに目覚めたのか、その髪はサラサラ縦巻きゆるふわカールで、バッチリつけまつげ、爪もド派手にデコられてます。


「急いで帰りましょう。魔界はもう、魔王様がいなくて混沌の渦に巻き込まれています。早く元のような秩序を……」


魔界に秩序とか、良く考えたら違和感しかないですね。


混沌だらけだから魔界なんじゃないんですか?


私の考えは古いのでしょうか?


「ふう……大した衝撃波だな。俺も思わず膝をついちまった」


あの衝撃波をくらって、膝をつくだけで済んでるマスターは凄いと思いますけどね。


「まあ良いわ。では世話になったな、道具屋のマスターと娘よ! もう二度と会う事もないだろうが、元気でな!」


ヒラリとドラゴンの上に乗り、そう言った魔王。


そんな魔王を、私とマスターはただ見送る事しか出来なくて……。


山の向こうへと消えるまで、ずっと二人で空を見ていました。


突然空から降ってきて、道具屋で働く事になった魔王。


最初はなんでも暴力(消滅魔法)で解決しようとして、本当に働けるか心配でしたけど……。


いつの間にか、この村には欠かせない存在になって行ったんですね。


少し寂しいけど……さようなら、魔王。


私は魔王を忘れないです。














あ、山岡さんはギリギリ生きていたので、回復薬で回復させました。