「よし! 店番はもう完璧だ! 配達とやらに行こうではないか。ワシに頼むが良い! 完璧にこなしてみせようぞ!」


相変わらず高笑いをする魔王。


どこをどう見たら店番が完璧なんて言えるのでしょうか。


それに、配達と言ってもどこに誰が住んでいるかもわかっていないのに、よくもまあ、こんなに自信満々に言えたものです。


「私が一緒に行きます! 魔王さんに任せてたら、何をしでかすかわかりませんからね!」


誰彼構わず、あの黒い球体をぶつけられたらたまったもんじゃありませんからね。


下手すれば、村人全員を消滅させかねません。


「ぬうっ! ワシを信じておらぬのかっ! この仕事っぷりを見て、何が不安だと言うのだっ!」












頭のてっぺんから足の先まで不安でしかありませんけど!


逆にどうしてそんな自信満々なのかわかりません!


マントとズロース姿の魔王なんて、恐ろしさが1周して笑いが込み上げて来ますからね!


「はいはい。仕方ないですね。町外れのメアリーおばあちゃんと、山岡さんの家は毎日パンを届けるのです。これは簡単なので一緒に行きましょう」


「何っ!? やっぱり貴様も来るのか!? ワシを信用しておらぬのかっ! パンの一つや二つ、ワシが盗むとでも思っておるのか!」


そっちじゃありません。


魔王が短気を起こして村人を殺さないか心配なだけです。