「良いか? 道具屋の素材集めには、未来のような非戦闘員でも出来る『素材採取』と、マスターのようなバリバリの武闘派に任されている『狩猟』があるのだ。ワシも先月、マスターと共にグリフィン狩りに出掛けたが……ワシも驚く手際の良さだったぞ」


お客さんが来ない間、魔王と道具屋について語っていますが……こういう、私ではなかなか体験出来ない話を聞くと、悔しくもあります。


「狩猟に行ったのに、私はグリフィンを見てないんですけど……もしかして逃がしちゃったんですか?」


グリフィンなんて目立つモンスター、持ち帰れば目立つはずなんですけどね。


まさか、ランチに焼いて食べたとか!?


……マスターと魔王なら有り得ます!


「……貴様はどこまでアホなのだ。良いか? グリフィンは『指定道具精製モンスター』に含まれる。これは、世界道具屋協会の依頼を受けて狩猟に行くもので、モンスターは世界道具屋協会に送られるのだ」


そ、そうでしたか……。


私のような戦闘を避けている村娘には、なんの縁もない項目だと思って飛ばしていたかもしれないです。


【指定道具精製モンスターについて】
モンスターの中には、その身体の一部を使用して道具を精製出来るモンスターが存在する。
グリフィン、フェニックスなどがその代表格である。
これらのモンスターは、世界道具屋協会からの依頼で道具屋が捕獲を行い、成功時には協会が引き取る事となる。
なお、対象モンスターが死亡した場合、報酬は十分の一になるので注意されたし。
(「世界道具屋大全」より抜粋)