「ふん! 店番など朝飯前よ! ワシのチャーミングなデススマイルで、この店の商品全てを売りさばいてくれるわ! ふははははは!」


スマイルはいいんですが、デスが余計ですね。


お客さんを虐殺するつもりでしょうか、この魔王は。


まあ、とりあえず魔王のお手並み拝見です。




~1時間後~




「ええい! 客が1人も来ないではないか! どうなっておるのだこの店はっ!」


あーもう。


本当に魔王は道具屋というのをわかっていないですね。


そりゃあ、こんなに可愛い看板娘の隣に、気味の悪い笑顔の紫の魔王が仁王立ちしていたら、お客さんが来ても逃げて行くですよ!


「店番だけが道具屋のお仕事ではないんですよ! わけあって道具屋に来ることができない人のために、配達をすることもあるです!」


「むっ! 待つだけでなく、攻め入ろうと言うのだな? いいぞいいぞ、それこそワシに相応しい仕事ではないか!」


満面の不気味な笑みを浮かべる魔王に配達を任せるのは、心配しかありません。


魔王が心配というより、配達先の人の命が心配です。


すでに一人、旅人をこの世から消し去っていますからね。