「こ、子供がいる前で何を言ってるのさ! じゃあ何かい!? あの夜の事はただの気の迷いだったとでも言うわけかい!? 鬼! 悪魔!」


「いや、魔王だけど……」


どうでも良い反論をした魔王に、真希さんが投げた商品の鍋が直撃しました。


いつもの魔王なら、「おのれ! この魔王をこけにしおって!」とか言って消滅させようとするのですが……。


鼻血を流しながら、慈しむような目を真希さんに向けていました。


こ、これは……魔王もまんざらではないのではないでしょうか。


「ふん! もうどこへでも行けば良いさ! 良い男を捕まえてやるから! あんたがいくら悔やんでも、その時には遅いんだからね!」


散々店の商品を魔王に投げ付けた真希さんは、怒鳴りながら店を出て行きました。


こ、これが俗に言う修羅場というやつでしょうか。


「フッ、あいつにも困ったものだ。もう少し優しい口調になれば、言い寄ってくる男は大勢いるだろうに。ワシといては、あいつが掴める人並みの幸せという物の邪魔になるからな。これで良いのだ」













何言ってんだこいつ。


魔王のくせに!


魔王のくせに、かっこいい事を言おうとしている姿勢がなんだか腹が立ちます!