真希さんを見る魔王の顔が、二枚目俳優のような整った顔立ちに変わっていたのですから。


「ワシは借金を返したら、本来いるべき場所に帰る。そこでも少々トラブルが起こっているみたいなのでな。ワシがいないとダメなのだ」


「そんなの……あんたがやらなくても良いじゃないか! それとも何かい!? 私は遊びだったって事かい!? あんな事やこんな事までしたのに!」












……私がいる前でなんて話をしてるんですか。


そういう話は、頼むから店ではなくて二人だけでしてください。


「許せ、真希。貴様が30過ぎて結婚も出来ず、やっぱりこんな田舎じゃ良い出会いないかなー。行きずりでも良いから良い男と一夜を共にして、子供が出来たら出来たで、シングルマザーでやって行けば良いかなーなんて思っている事も知っているが、ワシの事は忘れるんだ。良いな」


私が知らない間に、とんでもない展開になっていましたか。


なんだか最近、私が店に戻ると真希さんがいるなーと思ってはいましたが。


それに、魔王も毎晩外出していたようですし。


飲みに行っていたとしたら、借金返済に時間が掛かったのも納得です。