魔王がうちに来てから早一ヶ月。


最初は、光熱費だけで雪だるま式に膨れていった借金も、日々の節制で少しずつ減って行き……今日のバイトをもって、借金全額返済となります。


「くう……長かった。長かったが、やっと全ての借金を返す事が出来るのか。感慨深いものだな」


一緒にカウンターに並んでいる魔王が、いつもの高笑いも忘れてしんみりとしています。


思えば色々ありましたねえ……。


突然魔王が降ってきて、回復薬を大量に投与した事が全ての始まりでした。


バイトをしているのに、人を消滅させそうになったり、毒を吐いたり……。


魔物からこの村を守ってくれた事もあったから、これからは魔王がいなくても村を守れるように皆で頑張らなきゃならないです。


魔王があの時に言ったように、村の救護所が建てられて、村人全員(のぼるズを除く)でお金を出し合って回復薬を常備するようになりました。


変化のなかった村が、魔王が来てから少しずつ変わったのです。


「魔王さんがロウソクを使いすぎたり、食べる物を減らしていれば、4日もあれば十分完済出来た金額です。膨れ上がったのは自業自得ですよ」