……ぜんっぜんわからないです。


こんな優れ物を使わないなんて、どういう事ですか?


これを使えば、今までよりもずっと道具の精製が楽になるはずなのに。


「……その顔じゃあ、わかってねえみたいだな。良いか? 俺達道具屋は、己の技術で道具を作る。こんな簡単に作れる素材を使っちまえば、その技術も廃れてしまう。それに、これは冒険者に残しておくもんだ。一流の冒険者なら、必要に応じてこの実を使うはずだ。いざと言う時の救いの手としてな」


うーん、奥が深いです。


簡単に作れる道具を、わざわざ難しい技術を使って作るって事ですね。


職人魂を感じます。


「わかりましたけど……私はまだ何も調合出来ないです。回復薬すら作れません」


「まあ、ゆっくりやれば良いさ。そうだな……帰ったら、回復薬の調合を教えてやる。まずはそこからだな」


マスターが、回復薬の調合を教えてくれると言ってくれましたよ!


今まで店番しかしていなかった私が、大きな進歩です!


魔王が来てから、店番を任せる人が出来て、色々と学べる機会が増えた気がします。


「そうとなれば、早くグリーンリーフとイエローリーフを集めねぇとな。ほら、木の根元に生えてるこの草がグリーンリーフだ。集めるぞ」